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パチンコ店は「騒音作業場」ではない
2024年07月29日(月)
かつてパチンコ店の仕事は「騒音」「重労働」「タバコ臭」が難点と言われていました。そのうち「重労働」は各台計数機によって、「タバコ臭」は改正健康増進法による原則禁煙化でクリアになり、スタッフにとって働きやすく負担の少ない環境になったと言えるでしょう。そこで今回は残りの一つ、パチンコ店内の「騒音」について見ていきたいと思います。
騒音作業場とは
厚生労働省がまとめたガイドラインによると、「騒音作業場」とは騒音が85db以上になる可能性がある環境です。
騒音作業場は従事者が難聴になる懸念があるため、騒音レベルの低減化に努めるだけでなく、半年に1回の健康診断が必要になります。
また、85db以上の騒音環境での労働は1日8時間以下が望ましいとされています。騒音レベルによる許容作業時間は以下の通り。
・88dbなら4時間
・91dbなら2時間
・94dbなら1時間
・97dbなら30分
作業時間が上記に達しないように管理することが推奨されています。
たとえば、1日8時間労働の契約をしていても、騒音レベルが88dbなら、その環境で働けるのは4時間以下。それ以外の約4時間は騒音レベルの低い環境で働く必要があるため、騒音作業場で働く人員をたくさん確保する必要があり、人件費がかさむことになります。
つまり、騒音作業場に該当すると企業にとっては色んなコストがかかるようになるのです。
騒音作業場の具体例
労働安全衛生規則第588条では「著しい騒音を発する作業場」として、「動力駆動のハンマーを用いる金属の鍛造または成型を行う屋内作業場」などの8項目が挙げられています。
また、「騒音障害防止のためのガイドライン」では、「金属を溶解して鋳鉄製品や合金製品等の成型業務を行う作業場」をはじめとする52項目が「等価騒音レベルで85db以上になる可能性が高い作業場」とされています。
パチンコ台・スロット台が発する音、店内BGM、パチンコ玉が店内を循環する音など、色んな騒音があったパチンコ店ですが、2022年2月に行われた「騒音障害防止ガイドラインの見直し」において、騒音作業場の対象外になりました。
とはいえ、従業員と来店者の健康を守るためには導入機械やシマ状況の変化によって、都度、対策を行う必要が出てくるでしょう。
騒音障害防止のための防音対策例
ガイドラインでは、以下のような対策が挙げられています。
・低騒音型機械、防音カバー、消音機の採用
・防振ゴム、防振材の取り付け
・防音壁や防音室の使用、遮蔽物の設置
・耳栓、イヤーマフの使用
このように騒音発生源への対策、伝播経路への対策、受音者対策が必要になり、作業内容や職場環境に合った対策を施すとなると、いずれも少なくないコストがかかることは想像に難くありません。
パチンコ店でいえば、過度に大きな音を出さない演出を搭載した機械の開発、分煙ボードのようなもので音の伝播を少なくする、店内BGMの音量を下げるといった対策が考えられます。
まとめ
近年のパチンコ台は巨大な筐体、大きな音や光の機械が多くなり、楽しさは増した一方、従業員や打ち手の体への負担が問題視されていました。
特に目や耳への悪影響が考えられ、音量や光量の調整機能が付きつつも懸念が完全に払拭されたとは言いがたい状況です。
こうした光や音の問題についてはパチンコ店だけで解決できるものではありません。
派手な装飾を取り払ったスマパチ「e仕置人(京楽)」がエコや健康の面で高く評価されているように、今後も引き続き、メーカーや周辺機器・設備メーカーと連携を図りながら、業界全体で機械づくりと環境づくりに取り組んでいくことが大切になります。
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