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パチンコ不況は本当なのか?~転職とキャリア形成編~
2022年03月28日(月)
今回のテーマ
業界規模の縮小が続く中、他業種へ転職する人も少なくありませんが、想像していた労務環境・待遇とは違い、後悔する場合も……。
そこで今回は「転職とキャリア形成」について、具体例を挙げながら解説したいと思います。
他業種へ転職で年収ダウン
最初に、高橋勝弘さん(仮名・38歳)の例をご紹介します。
高橋さんは、約15店舗を展開するパチンコ法人に10年ほど勤め、店長を任されていました。
体育会系で親分肌、周囲からの人望も厚い人。コミュニケーション能力が高く、行動力のあるところも大きな長所でした。
そんな高橋さんは、妻と幼い娘2人との4人暮らし。
今後、娘の教育などにお金がかかるため、業界規模の縮小が続くパチンコ業界の将来に不安を覚え、給与待遇が維持できそうな他業種(不動産投資の営業)に転職したのです。
しかし、残念ながら年収は店長時代の600万円から350万円へ大幅ダウン。
では、なぜそうなってしまったのかを見ていきましょう。
“受動”と“能動”の違い/span>
年収ダウンの要因は、「高橋さんが培ってきた知識や技術、経験」と「不動産投資の営業で求められるスキル」のミスマッチです。
高橋さんは店長として対外折衝の経験があり、問題なくこなしていたので、不動産投資の営業でも自分はやれると思ったのでしょう。
しかし、パチンコ業界の店長の対外折衝は“受け身”であり、不動産投資の営業は“攻め・能動的”という大きな違いがあります。
誤解を恐れずに言えば、パチンコ店は箱(店舗)を造り、台を入れ、お店を開けばお客様が来てくれるのです。
たとえ何の営業努力をしなくても、パチンコ好きが来店するし、メーカーや販社の営業も売り込みに来るでしょう。
それに対して不動産投資の営業は、ただ待っているだけではお客様が現れることはなく、1円も売り上げることができません。
それぞれの仕事特性を比較
高橋さんは店長時代、接客やクレーム対応を得意としていたので、営業力や対人能力に自信を持っていました。
しかし、求められるスキルは全く異なっていたのです。
・営業職の仕事特性
「見込み客」を探し、最終的に刈り取る
主に電話や訪問などの直接的アプローチが必要
見込み客とは「不認知状態」から接触する
・パチンコ店営業の仕事特性
「見込み客」を店舗に呼び込む
主にメディアや広告による間接的なアプローチを行う
見込み客とは「認知状態」から接触する
パチンコ業界の場合、見込み客は「そこにパチンコ店がある」ことを認識しており、購買意欲(遊技意欲)のある層にはたらきかけるのが仕事になります。
一方で、他業種の営業の場合、見込み客にとって接触をはかってきた営業は「どこの誰だか分からない人」。
つまり、不認知状態からコミュニケーションが始まることになり、信頼関係を構築するためのプロセスと手法が大きく異なるのです。
キャリアの棚卸しをしよう
転職の際、不動産投資の業界研究をきちんとしなかったことが誤算の始まりだったと言ってもいいでしょう。
高橋さんは店長時代、不認知状態からの探客、商談(対外プレゼン)の経験がなかったので、不動産投資の営業としては成果を出すことができず、それが年収ダウンにつながりました。
もし、事前に業界研究をして、求められるスキルや経験が違うと分かっていれば、仕事への取り組み方も変わり、今とは結果が違っていたはず。
自身のキャリアを振り返り、強みと弱みを正しく把握する「キャリアの棚卸し」が転職活動においては何よりも大事なのです。
さて次回は、いよいよ当コラムの最終回――「業界の存在意義」について考察していきます。
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