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パチンコの基本知識<後編>
2020年06月08日(月)
2000年代:度重なる規制で業界縮小に歯止めが効かず
1996年に遊技機内規が変更され、確変の5回リミッターを搭載、時短や確変2回ループが禁止されるなど、射幸性が落ちることでパチンコ人気も下火になりました。
そうした中で大きな転換期となったのが2004年の風営法改定。演出のスキップ、連続予告(保留の書き換え)などを禁止する代わりに、大当り確率の下限を500分に1に緩和。ループ式パチンコ機の確変継続率の上限(50%)を撤廃したことで射幸性が大きく上がり、新規則第1号として発売された「F大ヤマト2」が大ヒットを記録。
しかし、2005年には遊技機内規を再び変更して大当り確率の下限が400分の1となり、以降は射幸性を抑える方向への規則・内規改正が続くことに。
1995年には参加人口が約2900万人、貸し玉の売上げが約30兆円という巨大産業に成長したパチンコ業界も右肩下がりになり、2018年には約950万人、約20兆円(※数字はレジャー白書2019より)まで縮小。
また2000年代は、1990年代後半から始まった映画やアニメ、芸能人のタイアップ台が飛躍的に増えた時期でもあり、権利モノ「ギンギラパラダイス」のデジパチ版として登場した「海物語シリーズ」の大ヒットによって一躍業界のトップメーカーの座についたSANYOを追いかける存在になったのが京楽。「必殺仕事人」「仮面ライダー」「冬のソナタ」をはじめ、出す台のほとんどが大ヒットを記録し、2000年代のパチンコブームを牽引しました。
2010年代:「遊べるパチンコ」への方向転換
以前より、駐車場に停めた車内に子どもを放置したままパチンコに興じる親がいることやギャンブル依存症などが何かとニュースになる中でパチンコ業界への風当たりが特に強くなったのが2010年代。
2011年の東日本大震災の時には電力不足にともない、地域内での輪番営業を余儀なくされる中、地域の人たちのコミュニケーションの場としても改めて注目を集めることになりました。
また、かつてはスポーツチームや格闘技イベントのスポンサー、CMの大量出稿で知名度を高めたパチンコ業界ですが、以降は新聞やテレビなどにおける遊技機のCM、企業宣伝を自粛することになり、業界内では大手企業と中小企業の格差がいっきに広がりました。
マルハンが売上げ高2兆円を突破する中、パチンコ店は減少の一途をたどり、かつては安泰だと思われていたパチンコメーカーもマルホン、奥村が相次いで倒産。業界に激震が走ったのは記憶に新しいところ。
2015年には日本遊技機工業組合(日工組)が「のめり込み対策」として、さらに射幸性を抑える規制を入れました。
また、高射幸性パチスロ機を2021年1月末までに完全撤去することを全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)が決定。国がギャンブル依存症対策を進める中でパチンコ業界は率先して遊技機の入れ替えを進め、より遊びやすいパチンコ、健全な業界を今後も目指していくことになります。
そしてこれから…
パチンコ店舗数は2020年、1万店舗を切り9,000代になると予想されます。最悪それ以下になる可能性も否定できません。
遊技機規制改定に伴う遊技性の変化、新機種開発の難航、稼働貢献週の短期化、新機種の買え控え、高騰する遊技機価格など、負のスパイラルともいえる中で、4月には改正健康増進法の全面施行とこれに伴う分煙環境整備。そして、大きなイベント開催時には自粛を余儀なくされるパチンコ業界ですが、東京オリンピックという世界最大ともいえるイベントも開催される予定です。
数年先を見越した黒字売却、パチンコ事業撤退という事例は数年前から出ている話ですが、大手・中小の2極化と店舗数減少は今後さらに加速していくのかもしれません。
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